亜鉛情報about zinc

1．ヒューズ用亜鉛合金^＊1、＊2

当社では微量の金属を合金元素とした亜鉛合金を自動車、オートバイ、建設機械用の(速断型)ヒューズとして供給し２０年以上の実績があり、日本車を中心に広く使用されています。

ヒューズとは

ヒューズは、過電流が流れた場合に対して電気回路を保護するために回路に挿入されるもので、身近なものでは電流ヒューズ と温度ヒューズがあります。
電流ヒューズは、定格電流以下の通常状態では、電流が流れる回路部品として機能しますが、過 電流が流れた場合は、ヒューズの溶断部に発生するジュール熱によって溶断し回路を保護します。一方、温度ヒューズは、周 囲の温度上昇によりそれ自体が溶断することで回路を保護します

電流ヒューズの種類

電流ヒューズは、定格以上の電流が付加され溶断するまでの時間によって速断型ヒューズ(クイックブローヒューズ)と遅断型 ヒューズ(スローブローヒューズ)に分類されます。当社は速断型ヒューズ用の亜鉛合金条を製造、販売しています。

速断型ヒューズ(クイックブローヒューズ)

速断型ヒューズは、溶断部や端子が亜鉛合金製で、オーディオ、ヘッドライトなど、過電流が流れた場合素速く切れる必要のある様々な箇所に使用されています。
現在、自動車用の速断型電流ヒューズは、その殆どが、ブレード型ヒューズ(図および適応例１～３参照)で、高級車では１００個以上使用されています。
以前用いられていたガラス管ヒューズ(適応例４)は、２輪車の一部で用いられるのみとなっています。
さらにブレード型ヒューズは時代と共に軽量小型化が進み、その主力は、オートヒューズ⇒ミニヒューズ⇒低背ヒューズと変遷し、現在ではミニヒューズの重量が約半分の低背ヒューズが、主流になりつつあります。
ブレード型ヒューズは、図と適応例(１～３)に示すように定格電流毎に着色された透明の耐熱樹脂製ハウジングと、溶断部、端子部が一体となった亜鉛合金製エレメントから構成されます。ハウジングは、透明でヒューズ切れが容易に確認できるように工夫されています。 ブレード型ヒューズやガラス管ヒューズに亜鉛合金が用いられるのは、その融点の低さ、高い導電性、加工性、切削性の良さに起因します。
また溶断する電流は、主にヒューズの溶断部の断面積を変えることで実現 しています。溶断部がＵ字形状を呈しているのは、電流断続時の熱による膨張、圧縮の影響(熱疲労)を緩和するためです。

レード型ヒューズの模式図

適応例

1. 1．オートヒューズ(15A用)
   
2. 2．ミニヒューズ(10A用)
   

1. 3．低背ヒューズ(30A)
   
2. 4．ガラス管ヒューズ
   

遅断型ヒューズ(スローブローヒューズ)

スローブローヒューズは、その多くが銅合金製で、パワーウインドやワイパーなどモーターを有する部品等に使用されます。
これら部品ではモーター ロック電流が頻繁に流れますが、すぐにヒューズが切れていては本来の機能を果たさないため、ある程度の時間は切れないよ うになっています。もちろん大過電流が流れた場合は、素速く溶断し回路を保護します。

2．その他亜鉛合金

一般加工用コイル材

亜鉛に数種の微量元素を添加した亜鉛合金で、ケーブルハンガー(下写真※)やゲームコインなどに使用されます。

ケーブルハンガー

その他コイル材

亜鉛に数種の微量元素を添加した亜鉛合金で、点字用(写真参照)、罫線印刷用、メダル用などに適応されます。
またその他の主な用途として下記があります。

1. 亜鉛の抗菌性(図参照)を利用した加湿器やエアコンの抗菌部品
2. 屋根の苔、カビ、菌糸類の繁殖防止材(主に北米､英国で使用)
3. 積層乾電池の負極材
4. 亜鉛の優れた耐久性、意匠性(経時で生じる保護被膜である塩基性炭酸亜鉛の格調高いグレイを有す)、加工性を活用した屋根や壁用の建材
5. 海水中では亜鉛の表面が常に付着性の乏しい水酸化亜鉛に覆われることを利用した海生生物着生防止材

エンボス式点字 プレス印刷用 亜鉛板

亜鉛合金は修正の容易性、加工性、耐久性により採用されています。

点字の作製方法

1. 亜鉛合金板を二つに折り、自動製版機で亜鉛合金板に凹凸をプレスする。
2. 凹凸をそれぞれ行をずらしてプレスすることで、裏表の２ページ分を製版できる
3. 二つ折りの亜鉛合金板の間に一枚ずつ紙を挟み、ローラーの間に通し紙に凹凸をプレスし一度で裏表を印刷する

エンボス式点字 プレス印刷用 亜鉛板

鋳造用・ダイキャスト用スラブ・プレート

主なものとして下記があります。

1. 亜鉛合金の鋳造性、機械特性を生かしたダイキャスト用亜鉛合金
2. 亜鉛合金の鋳造性や低融点を生かした、主に自動車向け樹脂部品やスチール部品の試作型用亜鉛合金