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用語解説words

ライフサイクルコスト

一般には構造物において、そのイニシャルコスト及びその寿命の間に機能を保持するために必要となるメンテナンス費用との総計を言う。ここでは、防食に限定した総費用を意味している。通常LCCと略す(Life Cycle Cost)。

ケレン

一般に塗料の密着性を向上するために構造物表面に行う清浄化作業のことを言い、下表のように分類されている。

素地調整程度 作業方法
清浄度1種(1種ケレン) 黒皮、さび、塗膜を充分に除去し、清浄な金属面とする。 ブラスト法
清浄度2種(2種ケレン) さび、塗膜を除去し、鋼面を露出させる。ただし、くぼみ部分や狭隘部分にはさびや塗膜が残存する。 ジスクサンダ、ワイヤホイルなどの動力工具と手工具の併用
清浄度3種(3種ケレン) さび、劣化塗膜を除去し、鋼面を露出させる。ただし、劣化していない塗膜(活膜)は残す。 同上
清浄度4種(4種ケレン) 粉化物および付着物を落とし、活膜を残す。 同上

被覆防食

金属表面を被覆することで腐食環境から化学的、物理的、電気的等で遮断し防食する方法で塗装、ライニング、めっきなどが該当する。

犠牲防食作用とは

亜鉛と電気的に導通のある鉄は、海水など導電性のある電解質溶液中では亜鉛が鉄に比べ卑な金属であるため、亜鉛が犠牲となって腐食することにより鉄の腐食が防止されるが、これを亜鉛の犠牲防食作用と言う。
右図は、鋼板に亜鉛板を鋼製ボルトで固定し水道水に浸漬した場合の亜鉛の犠牲防食作用を示している。同図より、無防食の鋼板が全面腐食しているのに対し亜鉛板で防食した鋼板は、亜鉛板の周囲の広い範囲に錆が発生していないことが判る。

試験後の外観
亜鉛で防食した鋼板 裸鋼板(無防食品)
亜鉛で防食した鋼板 裸鋼板(無防食品)

異種金属接触腐食

海水など導電性のある電解質溶液中に種類の異なる金属が電気的に接触している時に、卑な金属の腐食が通常に比べ加速される現象を言う。例えば貴な金属である銅を電解質溶液中で鋼に接触にさせると卑な鋼の腐食が加速される。

隙間腐食

構造物上に形成された隙間は、その周囲に比べ酸素の供給が少ないため腐食が進む現象(通気差腐食)を言う。

飛沫帯

海の構造物において飛沫帯は海水面直上で常時海水の飛沫を浴びる部分を言い、海水、酸素の供給が多く、飛沫による錆の破壊のため腐食環境が非常に厳しい。

干満帯

海の構造物において潮の干満により周期的な浸水と露出を繰り返す部分を言う。